[P1-55] イルカ用代用乳の創製を目途とした予備的検討 〜ハンドウイルカ乳窒素化合物成分の泌乳期における変動〜
【目的】現在水族館では、仔イルカの人工哺育を試みているが死亡例が多く、イルカ用代用乳創製が求められている。創製に向けて乳成分を明らかにする必要があるが、泌乳期による成分変動や明確な初乳期間については、未だ明らかにされていない。また、タンパク質やアミノ酸などの窒素化合物は、生体内でエネルギー源、生理活性、免疫付与などの役割を持つ重要な成分である。今回は泌乳期による窒素化合物成分の変動に焦点を当て追究した。
【方法】新江ノ島水族館のハンドウイルカから、分娩後2〜629日目に乳を採取し、タンパク質組成をSDS-PAGE、遊離アミノ酸組成をHPLCにより分析した。
【結果】イルカ乳は牛乳と比較して、カゼインの相対的割合が低いことが確認された。ウシなどの反芻動物はキモシンの分泌でカゼインを効率良く消化するが、イルカは非反芻動物であるためと考えられた。遊離アミノ酸は、タウリンが約半量を占め、次いでGly、Gluの順に多かった。イルカは脳化指数が高いため、脳の発達に関与しているタウリンや、糖原性アミノ酸の割合が高いと考えられた。いずれの成分も泌乳期による変動はなく、ウシで顕著に確認されるような初乳はイルカでは存在しないと示唆された。現在、牛乳では初乳の指標となっているIgGと抗菌性のリゾチームの測定、プロテオーム解析による全タンパク質の同定を試みており、それらの変動について明らかにしていきたい。
【方法】新江ノ島水族館のハンドウイルカから、分娩後2〜629日目に乳を採取し、タンパク質組成をSDS-PAGE、遊離アミノ酸組成をHPLCにより分析した。
【結果】イルカ乳は牛乳と比較して、カゼインの相対的割合が低いことが確認された。ウシなどの反芻動物はキモシンの分泌でカゼインを効率良く消化するが、イルカは非反芻動物であるためと考えられた。遊離アミノ酸は、タウリンが約半量を占め、次いでGly、Gluの順に多かった。イルカは脳化指数が高いため、脳の発達に関与しているタウリンや、糖原性アミノ酸の割合が高いと考えられた。いずれの成分も泌乳期による変動はなく、ウシで顕著に確認されるような初乳はイルカでは存在しないと示唆された。現在、牛乳では初乳の指標となっているIgGと抗菌性のリゾチームの測定、プロテオーム解析による全タンパク質の同定を試みており、それらの変動について明らかにしていきたい。