The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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ポスター発表

4. 形態・生理

4. Morphology/Physiology

[P4-12] 筋幹細胞におけるmyogeninの生理機能を骨格筋種で比較する

〇Takahiro Suzuki1, Rio Arimatsu2, Koichi Ojima3, Mako Nakamura1, Ryuichi Tatsumi1, Ken Kobayashi4, Takanori Nishimura4 (1.Research Faculty of Agriculture, Kyushu University, 2.Graduate School of Agriculture, Hokkaido University, 3. Institute of Livestock and Grassland Science, NARO, 4.Research Faculty of Agriculture, Hokkaido University)

【目的】胚発生期の筋形成に重要な役割を担う転写因子群MRFsの1つmyogeninは、成熟した骨格筋の種類によって発現量が異なる。その要因として、各筋に局在する筋幹細胞(衛星細胞)でのmyogeninの生理機能が不均一である可能性に着目した。本研究では、異なる骨格筋種を由来とする衛星細胞において、myogeninの発現抑制および過剰発現の処理を行い、分化様相と形成された新生筋線維(筋管)の特性を比較した。

【方法】C57BL/6成熟雄マウスの横隔膜、脊柱起立筋および腓腹筋のそれぞれより単離した衛星細胞の初代培養系を用いて、分化誘導と同時にRNAi法によるmyogeninの発現抑制処理、またはmyogeninを発現するコンストラクトの遺伝子導入による過剰発現処理を行った。

【結果】発現抑制により、他のMRFs(MyoD, Myf5, MRF4)の発現量が脊柱起立筋で代替的に増加したが、いずれの筋由来の細胞においても筋管直径と融合率が低下した。その際、横隔膜における自己複製能マーカーPax7陽性細胞の割合は対照より高かった。また、形成された筋管の筋線維型を比較すると、発現抑制によりいずれも遅筋型マーカーの発現量が減少し、過剰発現によって増加した。よって、myogeninは衛星細胞による遅筋型筋管形成を促進するが、特に横隔膜の細胞においては自己複性能阻害にも関与することが示唆された。