[I-15-01] 乾乳時と次産泌乳初期の泌乳形質と血中ホルモン、代謝産物濃度の関係
【目的】乳牛の健全性と乳生産を両立させる手段として泌乳平準化と泌乳持続性の向上は有効である。しかしながら、乾乳時乳量が高レベルとなる影響について検討は未だ十分でない。本研究では乾乳時を中心に泌乳形質と血中成分の関係を解析した。【方法】家畜改良センター新冠牧場のフリーストール牛舎にて飼養している乳牛120頭を供試した。乾乳方法は、栄養管理による乳量調整なしの一発乾乳である。乾乳前30日、直前と次産分娩後経時的に頸静脈から採血を行った。血液生化学・代謝産物濃度を測定した。また、40頭分の血中ホルモン濃度も測定した。泌乳形質として乾乳時乳量(乾乳前30日間か10日間の平均)、乳量減少割合、次産の泌乳初期乳量と乳量増加割合を算出し、血中成分との関係を調べた。【結果】乾乳時乳量と泌乳初期のグルカゴン濃度には正の相関、IGF-Iと血糖値、NEFAには負の相関が認められた。乾乳時乳量を多い、中間、少ないの3クラスに分けたところ、多いクラスでは次産泌乳初期のグルカゴン濃度は高いが、血糖値は逆に低かった。泌乳初期インスリン濃度は乾乳時乳量が多いクラスで低値だった。泌乳初期成長ホルモンは乾乳時乳量が少ないクラスで低かった。乾乳時の乳量減少割合や泌乳初期泌乳形質と血中成分にも関係が認められた。【結論】乾乳時の泌乳形質は、泌乳や栄養素代謝に関連する次産時の血液性状とリンクしていることが示唆された。