[I-15-18] 哺育子牛の成長及び血液成分におよぼすトルラ酵母抽出核酸の効果
【目的】肉用牛の哺育期は成長促進や疾病予防を目的として抗菌剤が使用されている。一方、抗菌剤の予防的給与は、薬剤耐性菌の影響等が懸念されるため、治療目的を除きその使用が制限される動きがある。本研究では反芻動物に対する抗菌剤の代替としてトルラ酵母抽出核酸（RNA-M）を哺育期の肉用牛に給与し、その成長及び血液成分に対する効果について検討した。【方法】供試牛は北海道内の1農場で飼養されている4∼19日齢の交雑種オス24頭を用い、抗菌剤無添加の代用乳にRNA–Mを3.0g及び1.5g添加した試験区、RNA–Mを給与しない対照区を設け、それぞれ8頭ずつ配置した。代用乳及びスターターの給与、離乳プログラムは、協力農場の飼養管理に従い行った。試験期間は試験飼料の給与開始時から離乳後1ヵ月までとし、毎日残食及び体調の観察、記録を行った。体重測定は試験開始時、中間時、離乳時及び離乳1ヵ月後に行い、採血は試験開始時及び離乳時に行った。【結果】試験期間を通して、対照区を含む試験区間で体調に変化は見られなかった。飼養成績は、離乳時の日増体重（DG）が、対照区と比較して試験区で増加傾向がみられ、離乳１ヵ月後の試験区では対照区に比べてDGの有意な増加がみられた。血液成分について、試験区では対照区に比べて総コレステロールの値が有意に増加した。これらの結果より、RNA–Mは成長促進の可能性があることが示唆された。