[II-15-17] 繁殖方法の違いによる黒毛和種子牛の体重に関する母性遺伝効果の経時的推移
【目的】黒毛和種の生産には人工授精(AI)の他、受精卵移植(ET)も多く活用されているが、これら繁殖方法の違いにより、生産された産子の発育に対する母性効果の影響は異なると考えられる。このため、異なる繁殖方法で生産された黒毛和種の生時から育成時体重における母性遺伝効果の経時的変化を明らかにするため、変量効果の経時的な変化を説明できる変量回帰モデルを用いて解析した。【方法】供試データには、NLBC繋養黒毛和種の生時から180日齢時までの体重測定値を用いることとし、AIにより出生した1,561個体の12,091記録およびETにより出生した1,042個体の10,875記録を採用した。測定時日齢は生時から10日齢間隔でクラス分けを行った。分散・共分散成分は、母性効果モデルを用いたGibbs sampling法で推定した。【結果】直接遺伝率は0.07~0.31(AI)および0.17~0.39(ET)、母性遺伝率は0.13~0.35(AI)および0.10~0.22(ET)と推定され、AI、ET産子とも母性遺伝率は日齢の増加に伴い減少する傾向が見られた。しかしながら、生時から50日齢時までの直接・母性遺伝率の推移は、AIでは母性遺伝率の方が、ETでは直接遺伝率の方が高く推移していた。また、ETでは生時から10日齢時までの母性遺伝率が非常に低く推定されており、繁殖方法の違いにより傾向に差が見られた。