育種・遺伝1

[II-15-18] 黒毛和種の枝肉形質における非相加的遺伝効果の推定

*Keiichi Inoue¹, Motohide Nishio², Yoshinobu Inoue³, Masayuki Takeda¹, Katsuo Uchiyama¹, Hiroyuki Hirooka⁴ (1. National Livestock Breeding Center, 2. NARO Institute of Livestock and Grassland Science, 3. Tottori Prefectural Livestock Research Center, 4. Kyoto Univ.)

【目的】黒毛和種の枝肉形質における非相加的遺伝効果を明らかにするため、SNP情報と血統情報それぞれの情報を用いて遺伝的パラメータを推定した。【方法】鳥取県および家畜改良センターで肥育された黒毛和種肥育牛1,908頭の枝肉格付成績、肥育牛とその両親のSNP情報および血統情報を分析に供試した。本牛とその両親のSNP情報を基に、Beagle4.0を用いて父方および母方由来の配偶子を決定した。次に、相加的遺伝効果、優性効果およびゲノムインプリンティング（GI）効果に該当するゲノム関係行列を構築し、遺伝的パラメータを推定した。血統情報からは、配偶子関係行列を構築し、父方および母方配偶子分散とこれらの共分散からGI分散を算出した。【結果】配偶子関係行列を用いた分析では、枝肉重量と皮下脂肪厚を除いて比較的大きなGI分散が推定され、表型分散に占めるGI分散の割合は、19%（歩留基準値）～21%（バラの厚さ、BMS）であった。一方、ゲノム関係行列を用いた分析では、GI分散は全ての形質において小さく、表型分散に占めるGI分散の割合は、全ての形質で4～5%程度であり、配偶子関係行列での結果と大きく異なっていた。また、優性分散も全ての形質において小さく、表型分散に占める割合は5%（バラの厚さ）～9%（BMS）であった。