[II-15-27] 多形質モデルにおけるNo-U-Turn Sampler法の共分散の推定性能
【目的】多形質モデルを用いて遺伝的能力評価を実施するためには形質間の共分散を正確に推定することが重要である。本研究では、ハミルトニアンモンテカルロ法を応用したNo-U-Turn Sampler(NUTS)法による共分散の推定性能について検討した。【方法】コンピューターシミュレーションによって7世代にわたる776頭の2形質のデータを発生させた。形質1および2の遺伝率の真値をそれぞれ(0.1、0.1)、(0.1、0.5)、(0.5、0.5)とした3つのシナリオを設定し、それぞれ10回反復させた。遺伝相関および環境相関の真値はそれぞれ0.3および0.1とした。分散成分の推定法として制限付き最尤(REML)法、ギブスサンプリング(GS)法およびNUTS法を用いた。真値と推定値との2乗平均平方誤差(RMSE)を算出し、3つの手法の推定精度を比較した。【結果】いずれのシナリオにおいてもNUTS法による遺伝共分散および環境共分散の推定値が最も真値に近かった。また、RMSEはNUTS法が最も小さかった。これらの傾向は設定した2形質の遺伝率が低い場合に顕著であった。