[III-15-05] マウスの妊娠時子宮粘膜上皮における膜侵襲複合体MACの発現動態と炎症抑制作用に関する研究
【目的】未だ解明がなされていない着床メカニズムに関して、当研究室では妊娠後期のMAC及び関連因子が免疫寛容に働き、MACがプロテアーゼ活性を持つことを示唆した。本研究では、妊娠期間における子宮内膜上皮でのMAC形成に伴う炎症反応と免疫寛容機能等についての関連動態を詳細に検討した。【方法】(実験①)交配後5、10、15、17日のマウス近交系ICR系統由来の雌計6頭を供試し、子宮、胎盤、子宮内膜上皮を採取した。それらから総RNAと総タンパク質を抽出し、リアルタイムPCR法でC3、Crry、CFI、IL-6、IL-8、IL-10、TGF-β、FOXP3、C9、CD59の各mRNA相対発現量を調査した。また、C9、CD59、C5b-9のタンパク質発現や複合体形成をウェスタンブロッティングで調査した。(実験②)①で採取した組織から総タンパク質を抽出し、プロテインキナーゼKのBSAに対する分解度を対照とし、抽出液の分解抑制度を評価するため、混合液を36.5℃で1時間の加温後にSDS-PAGE法に供した。【結果】C3は妊娠の進行と共に増加し、CrryとCFIの発現もみとめられた。炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインはいずれも増加傾向にあった。C5b-9、C9、CD59は妊娠期の上皮や胎盤の両方で発現し妊娠の進行とともに有意に増加した。妊娠初期ではBSA分解の抑制作用がみられた。