日本畜産学会第129回大会

講演情報

パラレルシンポジウム

パラレルシンポジウムII
畜産学における組織幹細胞研究の現在・未来

2021年9月15日(水) 15:00 〜 17:20 パラレルシンポジウム1(原) (オンライン)

世話人・座長:原 健士朗(東北大学・大学院農学研究科)

15:25 〜 15:45

[PSY2-02] ウシ精子幹細胞の抗老化性

*河原 輝宙1、原 健士朗1 (1. 東北大院農)

肉牛生産は数少ない優れた形質を持つ種雄牛の精液を用いた人工授精により行われており、種雄牛一頭の価値は高い。よって、種雄牛の精液については寿命を超えて採取されることが望まれるが、現在の技術では不可能である。そこで、精子幹細胞移植技術を応用し、老齢牛の精子幹細胞を若齢牛の精巣に移植することで精子生産長期化が実現できるのではないかと考えた。この計画を実現するためには老齢牛の精巣内で精子幹細胞(未分化型精原細胞)が数や増殖能を維持していることが必須である。そこで老齢牛における未分化型精原細胞の数・増殖活性の加齢変化を解明することを目的に研究を進めてきた。その結果、若齢牛に比べ老齢牛でセルトリ細胞の減少、間質の線維化が生じ、それと同時に分化した生殖細胞の減少が示された。一方、未分化型精原細胞の数と増殖活性は、有意な差は認められなかった。精子形成支持環境および分化した生殖細胞には大きな加齢影響が生じるのに対して未分化型精原細胞は維持されていることから、ウシ精子幹細胞は抗老化性が非常に高いことが考えられる。明らかとなったウシにおける精子幹細胞の抗老化性は老齢牛の利用価値を大きく高めると考えられる。