[V-15-02] 一般消費者が牛肉を外観から「赤身型」「しもふり型」と判定する脂肪交雑度の境界値の推定
【目的】近年「赤身肉」に注目が集まっている。「赤身肉」の品質を一般消費者のニーズに対応し的確に評価・アピールするには、一般消費者がどのような外観の牛肉を「赤身型」と認知するかに基づく「赤身肉」の定義が必要である。そこで本研究では、一般消費者が牛肉を「赤身型」と認知する脂肪交雑度について、画像を用いたアンケートによる推定を試みたので報告する。【方法】品種、部位、および脂肪交雑の度合いが異なる計23種の牛肉サンプルを皮下脂肪や筋間脂肪を除き4cm×5cm×4mmに整形し、画像を撮影するとともに、脂肪面積割合と脂肪含量を測定した。この画像を実物大に印刷して一般消費者40名に配布し、それぞれについて「赤身型」「しもふり型」のいずれかを判定させた。回答データの解析にはサンプルの脂肪面積割合もしくは脂肪含量を説明変数とした一般化線形混合モデルを用い、「赤身型/しもふり型」の判定の境界値となる脂肪面積割合および脂肪含量を推定した。【結果】脂肪面積割合と脂肪含量はいずれも「赤身型/しもふり型」判定に有意(P<0.001)な影響を及ぼした。これらモデルから推定された一般消費者における「赤身型/しもふり型」判定の境界値は脂肪面積割合および脂肪含量についてそれぞれ18.9%および14.1%であり、一般消費者が牛肉を外観から「赤身型」と認知するには少なくともこれらの値を下回る必要があると考えられた。