[V-15-13] 野生シカ糞便からの発酵乳スターター好適乳酸菌の分離と選抜
【目的】機能性ヨーグルトを中心に増加傾向だった発酵乳の消費は近年伸び悩んでいる。その要因の1つに、風味や食感の形成に重要な乳酸菌スターターの多様性欠如が挙げられる。本研究では、新たな発酵乳スターターの開発を目指し、野生シカ糞便から乳酸菌を分離・選抜することとした。【方法】シカ糞便試料から細菌分離し、45℃生育性試験、乳発酵試験(ラクトース資化性・ペプチド要求性試験)、ガス産生試験、プロテアーゼ活性試験およびアセトアルデヒド産生試験により発酵乳スターター好適乳酸菌を選抜し、菌種同定した。【結果】分離した200菌株から45℃で生育が良好だった98菌株を一次選抜した。全ての一次選抜株はグルコースないしペプチドを添加した乳培地で十分な発酵能を有し、うち1菌株を除いた97菌株はガス非産生であった。次いで、97菌株のうちペプチド要求性を示さなかった33菌株を用いてプロテアーゼ活性測定を行い、高活性を示した2菌株を最終選抜し、Streptococcus equinusおよびS. gallolyticus subsp. gallolyticusと同定した。また、97菌株全てのアセトアルデヒド産生量を調べ、高産生の2菌株を同様に最終選抜し、Lactiplantibacillus plantarum subsp. argentoratensisおよびL. plantarum subsp. plantarumと同定した。