日本畜産学会第129回大会

講演情報

口頭発表

6. 管理・環境、畜産経営

管理・環境、畜産経営

2021年9月15日(水) 09:00 〜 11:30 管理・環境、畜産経営、動物福祉 (オンライン)

座長:猫本 健司(酪農大農食環境)、多田 慎吾(農研機構)、椎葉 湧一朗(信州大学)、阪谷 美樹(農研機構)

[VI-15-02] マルコフ連鎖モデルを用いた肉用牛繁殖農家における繁殖マネジメントの評価

*西原 昂来1、藪内 祐樹1 (1. デザミス株式会社)

<目的>肉用牛繁殖経営における3つの繁殖マネジメントの経済性を評価するため、目視による発情検知(A)、全頭オブシンク処置(B)、発情検知装置(C)の利用を想定したシミュレーションを実施した。<方法>マルコフ連鎖モデル(Cabrera‚ 2011)を繁殖経営向けに改編し、設定条件をA(授精率40%、授精間隔21日)、B(授精率100%、授精間隔42日、オブシンク費用6.5千円/回)、C(授精率60%、授精間隔21日、発情発見装置費用9.6千円/頭/年)として試算した。産次、VWP、受胎率、素牛価格、飼料費、授精費用などその他の条件は同一の値を用いた。モデルから個体販売額、更新費用、飼料費、授精費用を推定し、個体販売額からこれら費用を差し引いた正味価値(NV)を経済効果の指標とした。<結果>A、B、C のNVはそれぞれ343、366、396となり、個体販売額は742、770、794であった(単位は千円/頭/年)。<考察>Aと比してB、Cともに経済性を有する手法であると推察された。最も影響力が大きい項目は個体販売額であり、現在の子牛価格では授精率の改善に経営資源を投入し、産子数を増加させることが経営的に有利であることが示唆された。また経済性評価が可能となることで、生産者が繁殖マネジメントを選択する際の意思決定に貢献できると推察された。