栄養・飼養2

[I-16-33] 生菌酵母Saccharomyces boulardiiと遊離中鎖脂肪酸が黒毛和種子牛の下部消化管細菌叢へ及ぼす影響

*RISA UEDA¹, Kazusa Mori², Hiroyuki Fukazawa², Asato Uchiumi¹, Kai Yamamoto¹, Yuki Shimizu¹, Hiromizchi Ohtsuka³ (1. Nihon Nosan Corporation, 2. Lallemand-biotech Corporation, 3. Rakuno Gakuen University)

【背景・目的】子牛の哺育期間の腸管の健全性の保持は大きな課題である。腸管の健全性には下部消化管の細菌叢の多様性が重要と考えられている。本研究では、子牛の下部消化管で一部の病原性細菌の減少の報告がある生菌酵母Saccharomyces boulardii CNCM I-1079 株と、マウスで選択的抗菌性が報告されている遊離中鎖脂肪酸について、黒毛和種子牛の下部消化管細菌叢に及ぼす影響を調査した。 【方法】黒毛和種繁殖農場にて生後2週齢での母子分離後、9週齢まで代用乳に何も添加しない対照区（C区）15頭、生菌酵母を添加した区（Y区）15頭、遊離中鎖脂肪酸を添加した区（MCT区）14頭の３区に分けた。生後0、3、6、9週齢の糞から微生物DNAの抽出を行い、16SrRNAを標的とした次世代シークエンスを用いて菌叢解析を行った。 【結果】糞中の菌叢は、０週齢では試験区間の有意差は見られなかった。3週齢ではC区に対してMCT区のみβ多様性に有意差が認められた。6週齢ではC区に対し、MCT区およびY区でβ多様性に有意差が見られた。9週齢ではC区に対し、MCT区およびY区でα多様性・β多様性いずれも有意差が見られた。属レベルでの相対存在量比較では試験区間で特に6週齢以降多くの系統で有意差が認められ、生菌酵母、遊離中鎖脂肪酸、いずれも下部消化管細菌叢にα、β多様性の変化をもたらすことが示された。