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[II-16-13] 国内のホルスタイン集団における疾病形質の遺伝率
【目的】乳牛の長命連産性を高める上で耐病性の改良は重要であるが、疾病形質の遺伝評価は国内でこれまで実施されてこなかった。本研究では、農業共済組合(農済)の診療情報から得られた疾病形質を利用し、その遺伝的寄与を調査した。【方法】5道県の農済から提供を受けた診療情報を基に、血統記録および牛群検定情報と照合し分析データを作成した。データ編集後の記録数は、初産で346,181、2産で264,649および3産で186,433であった。本分析では呼吸器病(1)、消化器病(2)、生殖器病(7)、泌乳器病(1)、妊娠分娩後疾患(3)、内分泌代謝病(1)ならびに運動器病(6)の合計21項目を対象に、分娩後305日以内における各疾病の罹患有無による二値データを作成し、線形アニマルモデルで産次ごとに遺伝率を推定した。【結果】各産次の疾病形質の罹患率(%)は初産0.2~24.8、2産0.47~36.8、3産0.55~42.4の範囲にあり、いずれの産次においても乳房炎が最も高かった。また、多くの疾病は分娩直後から泌乳初期の期間における罹患が多く、その罹患率は後産次ほど高かった。各産次の疾病形質の遺伝率(%)は初産で0.1から7.8、2産で0.2から6.6、3産0.0から7.8の範囲にあり、乳房炎と第四胃変位は産次を通して比較的高い遺伝率を示した。