The 130th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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口頭発表

2. 育種・遺伝

育種・遺伝2

Fri. Sep 16, 2022 1:30 PM - 4:40 PM Zoom会場2 (オンライン)

Chairperson: Masaaki TANIGUCHI, Akira Ishikawa(Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya University), Shinji Sasazaki, Norihide Yokoi, Tomokazu Fukuda(Iwate University), Youko Aida

1:40 PM - 1:50 PM

[II-16-20] ゲノムワイド関連分析を用いた牛生殖器奇形(ミュラー管融合不全)原因遺伝子の探索

*Yoko Nakadaira1, Dai Ishiyama1, Risako Hirata1, Fumie Magata1, Shigeru Kakuta1, Yoshihito Suda2, Fuko Matsuda1 (1. University of Tokyo, 2. Miyagi University)

【背景と目的】ミュラー管融合不全は、発生の過程で左右のミュラー管の融合が不十分で子宮から腟にかけて形態異常を呈する遺伝性疾患であるが、原因遺伝子は明らかでない。重度のミュラー管融合不全をもつ牛の受胎率は正常牛の半分未満であり、原因遺伝子保因個体を牛群から排除することで受胎率の向上を望める。本研究はミュラー管融合不全の原因遺伝子の特定を目的とした。【方法】ホルスタイン雌牛の罹患牛(36頭)と正常牛(159頭)の網羅的SNP解析(GWAS)を行い、疾患に関連する候補SNPを検討した。ミュラー管が融合する時期のシバヤギ胎子(胎齢42日)を用いて、特定したSNPの近傍遺伝子がコードするタンパク質のミュラー管および周辺組織における局在を免疫組織化学にて調べた。【結果と考察】GWAS解析により、疾患に有意に関連するSNP(rs108972810)を特定した。このSNPに変異をもつ個体は全て本疾患を発症していた。rs108972810の約2 kb下流には分泌ペプチドphoenixin14, 20をコードするSMIM20が位置していた。免疫組織化学の結果、シバヤギ胎子のミュラー管と周辺組織にphoenixin14, 20が局在していた。このことから牛胎子でもミュラー管融合時に周辺でphoenixin14, 20が発現・機能する可能性があり、SMIM20が本疾患の原因遺伝子の一つであることが示唆された。