育種・遺伝2

[II-16-21] 兵庫県黒毛和種におけるゲノムワイド関連解析を用いたオレイン酸含有率QTLの探索

*Natsuki Maeda¹, Namiko Kohama², Emi Yoshida², Eiji Iwamoto², Kenji Oyama¹, Shinji Sasazaki¹, Hideyuki Mannen¹, Fuki Kawaguchi¹ (1. Kobe Univ., 2. Hyogo Prefectural Technology Center)

【目的】牛肉脂肪中オレイン酸含有率（C18:1）の向上に向け、ゲノムワイド関連解析（GWAS）による候補領域の検出と、そこに位置する責任多型の探索を試みた。【方法】兵庫県黒毛和種432頭を用いてC18:1に対するGWASを実施した。次にゲノムリシーケンスデータを用いて、検出された候補領域内の全多型からアノテーションや遺伝子の機能、GWASで最もp値が低かったSNP（Top SNP）との連鎖不平衡などを考慮し候補多型を選抜した。また最も有力な多型について、GWASと同集団におけるC18:1に対する効果を検証した。【結果】GWASの結果、19番染色体42 Mbp付近にピークが検出された。本染色体50 Mbp付近には脂肪酸組成に関わることが知られているFASN遺伝子が位置するが、本領域にはそれとは独立した責任遺伝子の存在が先行研究によって示唆されている。そこで30-50 Mbpを候補領域とし、責任多型として有力な候補を探索した結果、44遺伝子の291多型が選出された。そのうち特に有力なACLY遺伝子のアミノ酸置換E116DについてC18:1に対する効果を検証したところ、Top SNPの検証結果（p =3.17E-06）より高いp値（p = 3.07E-04）が示されたことから責任多型である可能性は低いと考えられた。今後、その他の候補多型についても同様に検証し、責任多型の絞り込みを進める予定である。