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[IYS-05] 黒毛和種牛の飼料効率とリンクするルーメン細菌群の探索
【目的】近年、ウシの生産性とルーメン細菌叢の関連が複数のウシ品種において示唆されているが、我が国の重要な肉用品種である黒毛和種について検討された例はない。本研究では、黒毛和種牛の飼料効率とリンクするルーメン細菌群を探索した。【方法】黒毛和種肥育牛83頭より、14および18ヶ月齢時に口腔内の反芻残渣を採取し、ルーメン内容物の代替として細菌叢解析に用いた。反芻残渣より総細菌DNAを抽出し、16S rRNA遺伝子全長を標的としたアンプリコンシーケンシング解析を実施した。全83個体を14から18ヶ月齢にかけての飼料効率に基づき、高飼料効率群、中間的な飼料効率群、および低飼料効率群としてグルーピングし、ルーメン細菌叢の比較解析を実施した。【結果】牛群間で細菌叢全体の構成に有意な違いは見られなかった。一方で、低飼料効率群において、14から18ヶ月齢にかけて乳酸産生細菌群および乳酸利用細菌群の顕著な減少が確認された。通常、ルーメン内で産生された乳酸はこれを利用する細菌によって揮発性脂肪酸へと代謝され、宿主のエネルギー源として利用される。以上より、肥育中期の黒毛和種牛ルーメン内において、乳酸代謝に関わる細菌群の分布量変動によりルーメン発酵パターンが変化し、これが宿主の飼料効率に影響する可能性を明らかにした。