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[V-16-06] ウェットエイジングが和牛リブロースおよびモモ肉中のタンパク質並びに核酸に由来する代謝産物の生成に及ぼす影響
【目的】近年, 国内での和牛肉消費量が減少するに伴い, 和牛肉を海外へ輸出する動きが強まっている. 牛肉を輸出する際は冷凍の他, 真空パックで, かつ冷蔵条件下 (ウェットエイジング)でしばしば行われる. 本研究では, ウェットエイジングに供した黒毛和牛リブロースおよびモモ肉中の呈味性化合物を定量することで, 同処理によって和牛肉の呈味成分がどのように変化するかを改めて検討することにした. 【方法】茨城県内で生産された黒毛和種 (A4等級, BMS No.5~7)のブロック肉を真空包装下で2℃にて, リブロースおよびモモを短期(1~2週), 中期(3~5週), 長期(6~8週)の3つの期間熟成させた. その後, 高速アミノ酸分析計および高速液体クロマトグラフィーを用いて遊離アミノ酸および核酸関連物質の定量を行った. 【結果】甘み, うまみ, 苦みに関与する遊離アミノ酸の総量はいずれも, 部位に関わらず熟成期間の延長に伴って増加した. 一方で, 核酸関連物質の一種でうまみに関与するとされるイノシン酸は, どちらの部位でも熟成期間の延長に伴ってヒポキサンチンまで分解されていることが示された. またこれら物質の含有量を部位間で比べたところ, 短期熟成ではモモ肉の甘み系遊離アミノ酸およびイノシン酸含有量がリブロースよりも多かった. しかし, 熟成期間を延長することでそれらを含めたほとんどの物質の含有量に差が見られなくなった.