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[III-20-05] リキッドフィーディングを採用している農場で発生した胃潰瘍に対するアラビアガム給与の効果(予報)
リキッドフィーディング(LF)は,輸入飼料原料の高騰などを背景に,食品残渣を活用できるというメリットから我が国でも普及しつつある。一方で,LFによる胃潰瘍発生も問題化しており,生産性減退の他,貧血による死亡例も報告されている。水溶性食物繊維のアラビアガム(AG)は,ラットモデルを用いた先行研究で,胃潰瘍の発生を予防することが報告されている。本研究では,LF採用農場にて発生する胃潰瘍をAGにて改善出来るか検討を行った。暑熱ストレスがかかる2022年7月に育成舎3舎へ肉豚を移動させ,試験を開始した。導入全頭へAG(ファイバーガムフィード;島貿易)を0.15%となるようにLF中に添加して飼養期間中(約3ヶ月間)継続給与した。飼養期間中の胃潰瘍を原因とする死亡割合,日増体量及び飼料要求率を算出した。前年(2021年8月)に同一育成舎で飼養した肉豚の結果を対照として用いた。各豚舎の数値を単位として,n=3で統計解析を行った。対照年では胃潰瘍による死亡が5.2%に達していたが,AG給与した年では2.9%まで低下した。一方で,日増体に改善は認められなかったが,飼料要求率は顕著な改善効果が認められた。AG給与によって,胃潰瘍及び飼料要求率が改善がする可能性が示唆された。なお,他農場でも調査を継続しているが,同様の結果が得られている。改善メカニズムについては現状不明であるが,今後検討していきたい。