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[III-20-31] 低メタン産生牛に特徴的な未分離Succinivibrionaceae科細菌のゲノム解析による基質代謝機能の推定
【目的】メタン産生の少ない乳牛の多くはルーメン液中のプロピオン酸濃度が高く、機能不明の未分離Succinivibrionaceae科細菌(以下、未分離細菌)が多く分布する。本研究では、未分離細菌のゲノム情報を取得することで、未分離細菌の基質代謝機能を推定するとともに、低メタン産生との関わりを探ることを目的とした。【方法】農研機構畜産研究部門で飼養管理されるホルスタイン種泌乳牛のうち、低メタン産生牛1個体から胃液サンプルを経口採取した。培養を介さずに1細胞からゲノム配列を取得できるシングルセルゲノム解析により未分離細菌のゲノム配列を取得した。糖質加水分解酵素および短鎖脂肪酸産生の関連遺伝子について、同科に属する既知菌のゲノム配列と比較した。【結果】糖質加水分解酵素を探索した結果、未分離細菌はα-グルコシド結合切断酵素である糖質加水分解酵素ファミリー13を保有したことから、既知菌と同様にデンプン分解に関与する可能性が示された。ピルビン酸から短鎖脂肪酸産生までの推定代謝経路を既知菌と比較した結果、未分離細菌はプロピオン酸産生に関与する酵素群のみを保有した一方で、既知菌はプロピオン酸産生の他に、酢酸や酪酸産生に関連する酵素を一部保有した。以上より、未分離細菌はデンプン分解に関与し、同科の既知菌よりもプロピオン酸産生に寄与することで、低メタン産生に関わる可能性が示唆された。