The 131st Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

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口頭発表

4. 形態・生理

形態・生理

Wed. Sep 20, 2023 9:00 AM - 11:40 AM Venue 7 (Lecture Room 21 and 22)

Chairperson: Yutaka Suzuki, Tomonori Nochi, Wataru Mizunoya, Koichi Ojima

9:00 AM - 9:10 AM

[VII-20-01] プロポリスがヒト真皮線維芽細胞に及ぼす影響

*Koga Haruta1, Nishimura Takanori1, Kobayashi Ken1 (1. Hokkaido Univ.)

【目的】プロポリスは古来から皮膚の創傷治癒の薬として用いられており、動物実験によって創傷治癒の促進作用も報告されている。しかし、その詳細なメカニズムは明らかになっていない。皮膚の創傷治癒過程では、まず創傷部周辺の真皮コラーゲン線維構造の分解が起こり、続いて線維芽細胞が創傷部に移動して新たなコラーゲン線維構造を形成し、最終的に真皮全体の構造が創傷前の状態に戻る。そこで本研究では、プロポリスが線維芽細胞の増殖およびコラーゲン代謝に及ぼす影響を培養下で調べた。【方法】ヒト真皮線維芽細胞を30-40回継代したものをコンフルエントになるまで培養した後、プロポリス含有培地でさらに5日間培養し、免疫染色やウエスタンブロットに供試した。【結果】免疫染色の結果、プロポリス処理区の線維芽細胞では細胞外のコラーゲン線維構造が発達している様子が観察された。また、ウェスタンブロッティングの結果から、コラーゲン分解酵素であるMMPの発現レベルに対するMMP阻害剤(TIMP)の発現レベルが上昇していること、コラーゲン合成を促進するシグナル分子であるSmad2の活性化レベルが上昇していることがわかった。さらにプロポリス処理区では線維芽細胞の増殖も活性化していた。以上より、プロポリスは線維芽細胞の増殖とコラーゲン代謝に作用し、創傷治癒を促進していると考えられる。