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[VII-20-04] アディポサイトカインが乳腺上皮細胞の乳産生能力に及ぼす影響
【目的】アディポサイトカインとは脂肪細胞から分泌される生理活性物質の総称であり、レプチン、アディポネクチン、TNF-αなどがある。肥満状態において、アディポサイトカインの分泌異常が脂肪細胞で起き、代謝異常や疾病の発症につながる。また、肥満乳牛において乳量の減少は報告されている。しかし、アディポサイトカインと乳産生の因果関係は未だ解明されていない。本研究では、アディポサイトカインが乳腺上皮細胞の乳産生に及ぼす影響を調べた。【方法】マウス乳腺から乳腺上皮細胞を採取し、培養下で乳分泌を誘導した。続いて、アディポサイトカイン存在下で培養した後、ウエスタンブロットに供試した。また、乳腺と乳腺上皮細胞からmRNAを採取し、RT-PCRに供試した。【結果】培養下でレプチン処理した乳腺上皮細胞では、主要な乳タンパク質であるβ-カゼインの産生量が有意に減少し、その減少程度はTNF-αやアディポネクチンよりも顕著であった。そこで、レプチン処理した乳腺上皮細胞を詳細に調べると、乳産生を促進するシグナル分子であるSTAT5の活性化が抑制されていることがわかった。また、泌乳マウスの乳腺と乳腺上皮細胞において、レプチン受容体のmRNA発現が確認された。以上の結果より、肥満時に過剰分泌されるレプチンは乳腺上皮細胞に直接結合し、STAT5の不活性化を介して乳産生の低下を引き起こすと考えられる。