The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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5 Pathogens and Infectious Diseases (including Epidemiology)

[ODP5D] d. Epidemiology, and Molecular Epidemiology

[ODP-102] Genetic analysis of the type VII secretion system of Streptococcus intermedius

○Toshifumi Tomoyasu, Atsushi Tabata, Hideaki Nagamune (Div. Biosci. & Bioindust., Grad. Sch. Tech., Indust. & Soc. Sci., Tokushima Univ.)

【序論】S. intermedius(SI)は,日和見的に脳や肝臓などの深部臓器に重篤な膿瘍感染症を引き起こすヒト口腔内常在菌である.近年,SIにはType VII輸送装置(T7SS)を構成するタンパク群と相同性を示す因子が存在すること,T7SSを構成する因子の種類や配列はそれぞれの菌株によって異なっていることが報告された.そこで,当研究室が保有する臨床現場や歯垢から分離された80株のSIがどのタイプのT7SSの配列を持っているのかについて解析した.さらに,T7SSタイプの違いによる分離部位の差異や培養細胞に対する細胞毒性の多寡などについての解析も行なった.
【結果と考察】TYG1620株が保有しているT7SS(Tタイプ),基準株のNCDO2227が保存しているT7SS(Nタイプ),それら以外のものないしはT7SSを保有していない可能性があるもの(Pタイプ)の3タイプを選別可能なプライマーを作製し,ダイレクトコロニーPCRを行った。その結果,31%がTタイプ,44%がNタイプ,25%がPタイプであることがわかった.また,Tタイプには脳膿瘍由来株が多いことも明らかになった.また,T7SSによって分泌される因子がヒト以外の細胞に対して細胞障害活性を示すか否かを,ラット肝由来細胞BRL3Aを用いて解析した.その結果,細胞障害性の強さはタイプ間で大きな差がないことがわかった.以上の結果から,TタイプのSI株が高い頻度で脳膿瘍を形成する理由は,T7SSによって分泌される因子が細胞を直接攻撃するためではない可能性が高いことがわかった.
【会員外共同研究者:前田瑞穂(徳島大・生物資源産業学部)】