The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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6 Virulence Factors and Biophylaxis

[ODP6B] b. Toxins, Effectors, and Bioactive Substances

[ODP-140] Investigation of the cellular response in THP–1 against Streptolysin S produced by S. anginosus

○Rina Shirai1, Atsushi Tabata1,2, Toshifumi Tomoyasu1,2, Hideaki Nagamune1,2 (1Div. Bioresour. Sci., Grad. Sch. Sci. & Tech. for Innov.,Tokushima Univ., 2Div. Biosci. & Bioindust., Grad. Sch. Tech., Indust. & Soc. Sci., Tokushima Univ.)

【目的】アンギノーサス群レンサ球菌(AGS)はヒト口腔内常在細菌の一種であり,日和見病原細菌であると認識されてきた。しかし,近年ではAGSの様々な疾患との関連に関する報告が相次ぎ,本菌群の臨床的な重要性の認識が高まっている。我々はこれまでに,ペプチド溶血毒素であるストレプトリジンS(SLS)がAGSのβ溶血因子であることを明らかにしている。本研究では,in vivo におけるAGSの血中移行を想定し,AGSが産生するSLSの作用に依存的なヒト急性単球性白血病由来株THP–1の細胞応答を評価することにより,AGSの異所性での病原性に注目して検討した。
【方法】SLSを産生してβ溶血性を示すS. anginosus基準株(SAT)の培養上清をTHP–1に作用させ,経時的に細胞障害性の有無を確認した。また,SATと共培養したTHP–1において得られたmRNAマイクロアレイ解析のデータをもとに,顕著な発現変動が確認された遺伝子を選択し,SATの培養上清を作用させたTHP–1におけるそれらの遺伝子の発現変動を評価した。
【結果と考察】顕微鏡観察の結果,SATの培養上清を作用させたTHP–1に顕著な細胞障害性は確認されなかった。しかしながら,SATの培養上清を作用させたTHP–1ではケモカイン遺伝子の発現亢進が確認された。この発現亢進はSATの非溶血性変異株では確認できなかったことより,THP–1ではSLS依存的にケモカイン遺伝子の発現が亢進していることが考えられた。現在,THP–1におけるSLS依存的な細胞応答反応の全容を明らかにすべく,他の遺伝子についても発現変動解析を進めている。