[WS2-1] Research targeting low-molecular-weight metabolites produced by intestinal microbiome
大腸管腔内には多くの腸内細菌叢由来の低分子代謝産物が遊離状態で存在する。これらは腸管組織および血中に移行し,血中に移行した代謝産物は全身の細胞へ作用する可能性が高く,健康/疾病との関りが深いことに疑問の余地はない。演者らは,腸内細菌叢の代謝を制御することで生理活性物質(特にポリアミン)産生を誘導し,それが生体に移行することで宿主の健康増進効果を得ることができる機能性食品開発を試み,一連の研究で,腸内ポリアミン濃度を上昇させることで健康寿命延伸に繋がる新規食品の開発に至った。本講演では,その過程で実施した,メタボロミクスを用いた腸内細菌叢由来代謝産物のリスト化や生体への移行に関する基礎的研究[1,2],ヒト糞便試料からの生理活性物質ポリアミンの産生を誘導する化合物の探索[3],見出した化合物(アルギニン)により腸内細菌叢がポリアミンを産生するメカニズムと代謝経路の解明[4,5],そしてマウスおよびヒト腸管内でのポリアミンの産生と生体への移行および保健効果判定[3,6]における重要ポイントを中心に紹介する。[1] Scientific Reports 2: 233, 2012; [2] Frontiers in Systems Neuroscience. 7: 9, 2013; [3] Scientific Reports 4: 4548, 2014; [4] Science Advances 4: eaat0062, 2018; [5] Gut Microbes 10: 159-171, 2019; [6] Nutrients 11: 1188, 2019