The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

ICD講習会

[ICD] 事前予約者のみ 参加可 ※事前予約者のみにICD事務局からZOOM情報を通知しております)

Thu. Mar 31, 2022 3:30 PM - 6:00 PM Channel 1

Convener: Ken Kikuchi(Tokyo Women’s Medical University)

[ICD-1] COVID-19治療の最前線

Satoshi Kutsuna (Osaka Univ.)

COVID-19の経過は,発症から1週間程度は風邪様症状や嗅覚・味覚異常などの症状が続く.この時期はウイルス増殖期と考えられるため,抗ウイルス薬によって増殖を抑えることで重症化を防ぐことが期待される.一部の感染者では発症約7日目頃以降に重症化する.この時期は過剰に起こった炎症を抑えるためにステロイドなどの抗炎症作用を持つ薬剤を使用するのが合理的と考えられる.つまり,現時点では新型コロナウイルス感染症の病期に合わせて「抗ウイルス薬」「中和抗体薬」と「抗炎症薬」を組み合わせて行うという考え方がコンセンサスとなっている.例えば,発症早期では抗ウイルス薬の効果が期待されるが,重症化してからは効果は期待されず,一方,抗炎症薬も発症早期では効果は期待できず,重症化してからの使用が推奨される.
2021年12月22日時点で日本でCOVID-19に対して適応のある薬剤はレムデシビル,バリシチニブ,カシリビマブ/イムデビマブ,ソトロビマブの4薬剤である.デキサメタゾンは重症感染症に関しての適応がある.また,抗ウイルス薬であるモルヌピラビルはアメリカ合衆国で緊急使用許可(Emergency Use Authorization:EUA)が降りたことから,これを受けて本邦でも年内に使用可能となる見込みである.
2021年11月下旬から世界中に拡大しているオミクロン株については,スパイクに多数の変異があることから,SARS-CoV-2のスパイクを標的としたモノクローナル抗体のうち,ソトロビマブはin vitroでは一定の効果が保たれているとされる一方,カシリビマブ/イムデビマブは有効性の低下が懸念されている.