第95回日本細菌学会総会

講演情報

ICD講習会

[ICD] 事前予約者のみ 参加可 ※事前予約者のみにICD事務局からZOOM情報を通知しております)

2022年3月31日(木) 15:30 〜 18:00 チャンネル1

コンビーナー:菊池 賢(東京女子医科大学)

[ICD-3] COVID-19 診療システムの構築

有村 健 (東京女子医科大・呼吸器内科)

2019年12月より中国武漢で新型コロナウイルスの報告があり当初は、SARS、新型インフルエンザ、MERS同様の輸入感染症としての認識であったが、その後“想定外”の流行となり、パンデミックとなった。当院でも2020年3月よりコロナチームが発足し新型コロナウイルス対策と患者受け入れが始まった。発足当初は見えないウイルスに対する恐怖感が強かったものの適切な装備や対策により感染防御可能である事が分かった後には恐怖感は薄れていった。2022年3月初旬まで、当院では800名超の患者を受け入れている。その時点で有効とされる治療を行ったにも関わらず亡くなられた患者がいる一方、肺炎以外での想像を超える多彩な症状に驚く事も多かった。また、当初より世界中で問題になっていた院内感染に対しては①外来トリアージ患者、②予定入院患者、③緊急入院患者に対して徹底的なPCR検査の取り組みを行っていた。2020年3-5月まで上記計2981名の患者の内、①1.81% (95% CI: 0.95–3.47%)、②0.04 % (0.0002–0.2 %)、③3.78 % (1.82–7.26 %)であり当然の事ながら症状のある①、③が高くなっていた。これまでのところ幸いにも当院では院内クラスターによる院内感染はなくこの取り組みは有効と考えている。
日本では第5波とされた2021年7-9月に流行していたデルタ株では従来株とは異なり容易に重症化するケースが多く見られた。その状況下でも抗体療法は明らかに実際の有効性を実感できるものであった。感染、重症化しやすい臓器移植患者41名の内、当院における同治療投与群は非投与群と比較して解熱(2日vs. 6日、P = 0.0002)、入院期間(8日 vs. 15日、P < 0.0001)でありかなりの手ごたえを感じる事ができた。こうした当院における診療システム、その構築とデータを中心にお話ししたい。