[ODP-024] Do soil bacteria soar and float in the air due to changes in environmental factors?: a field trial
私達は，3Dプリンターを用いて空気中に浮遊する細菌を効率よく生け捕りにできるエアサンプラーを開発し，浮遊生菌数が温度や湿度さらに風速と連動し変動することを発見した（Mori et al, Res Microbiol, 2021）．一方，ヒトを取り囲む空気中には，多数の細菌が存在している．それらは床や土壌由来だが，浮遊を惹起する環境要因は明らかではない．そこでこのエアサンプラーを用いて北大農場の牧草地を挟んだ2地点で空気を2021.5.31~6.28にかけて採取（1回2時間，n=20）し，浮遊細菌数と環境因子（気圧，温度，湿度，風速，風向き，蒸気圧，日照時間，全天日照量）との関連性を検証すると共に浮遊細菌中から放牧されている家畜由来の細菌の検出を試みた．環境データ（各採材時3点，計n=60）は，国土交通省気象庁HPより得た石狩計測値を利用した．因子間の関連は，ピアソンの相関係数の検定により検討した．その結果，浮遊細菌数（平均7.42CFU/m3）と現地気圧（r=-0.263，p=0.043）および海面気圧（r=-2.26，p=0.044）が有意に相関した．また蒸気圧（r=0.254，p=0.05），湿度（r=0.254，p=0.085），風向（r=0.24，p=0.064）との相関が示唆された．また浮遊菌からは，放牧されていた動物由来と考えられるStaphylococcus sciuriが検出された．このように土壌由来の細菌は，環境因子が連動し変化することにより，空気中に巻き上げられ浮遊し移動することが確認された．
（非会員協力者: 甲斐 絢子， 杉山 恭平， 鷲見 優斗）