[ODP-027] Evaluation of predation of antimicrobial resistant bacteria by protists
【背景・目的】薬剤耐性菌は環境中にも拡散し大きな問題となっている.家庭や農地,病院からの排水は下水処理場へと流入する.下水処理場では基準値以下の細菌数まで殺菌を行い環境へ排出しているが,残存した菌が薬剤耐性遺伝子を維持しつつ環境中に広がることが懸念される.閉鎖的空間では塩素系消毒薬や紫外線,オゾン等を使用し殺菌を行うが,自然環境のような開放空間では他の生物への影響が懸念され現実的ではない.そこで本研究では,細菌の捕食者であり下水処理過程でも用いられる原生生物ParameciumとESBL産生菌を用い,Parameciumによる薬剤耐性菌除去の評価を目的とした.
【方法】原生生物として2種のParameciumを,薬剤耐性菌として4種のESBL産生菌を用いた.MOI=1000,MOI=10000となるように細胞数を調整したParamecium培養液にESBL産生菌を培養したLB培地を加え,25℃で培養した.一定時間培養後,培養サンプルを100μg/mLアンピシリンを添加したLB寒天培地上に播き,37℃で一晩培養した.LB寒天培地上のコロニー数から捕食率を算出した.
【結果・考察】MOI=10000におけるParamecium caudatumの24時間後のESBL産生菌捕食率は,4種全てのESBL産生菌で高率を示し97~99%であった.Paramecium multimicronucleatumはE. coli blaCTX-M-15 gene,E. cloacaeでは97~99%,E. coli TEM-3 ESBL,K. pneumoniaeでは75~80%を示した.今後は,Paramecium内の食胞で耐性遺伝子も分解されるかどうかを検討する.