The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP30] 7. Antimicrobial agents and resistance -a. Antimicrobial agents

[ODP-195] Growth inhibition of Campylobacter jejuni by Bacillus natto and identification of antibiotics

Ryosuke Kadoya, Serina Kato, Nanako Sugimoto (Dept. Food and Nutrition, Sch. Life Stud., Sugiyama Jogakuen Univ.)


カンピロバクター食中毒は世界各国で発生している主要な食中毒であり,下痢や嘔吐などを引き起こす.国内でも発症件数は,年間約300件以上と非常に多く社会問題になっている.食卓の安全を確保するうえで本菌の汚染防止は緊急の課題である.主な原因菌はカンピロバクター属菌であり,市販鶏肉が高率に汚染していることから,調理段階での加熱処理しか有効な防御策はない.本研究では,納豆菌を含んだ生菌剤に着目し,カンピロバクター食中毒の拡大を防止することを考えた.効果的だと思われる納豆菌を用いた生菌剤の利用だが,納豆菌は多くの株が存在するため,どの株がC. jejuni増殖抑制に効果があるか未知である.納豆菌10株を準備し,Well diffusion assayでC. jejuniに対する抗菌効果を比較した結果,抗菌効果に差があること,C. jejuniに対し抗菌効果がない株も存在することが示された.また,培養上清の抗菌効果を検討した結果,生菌と同様に抗菌効果に差があることが観察された.Well diffusion assayで増殖抑制効果が高かった2株を選別し,液体培地を用いた共培養で増殖抑制効果を検討した.共培養48時間後,枯草菌168株では,C. jejuni菌体数の減少は観察されなかったが,抑制効果が高い納豆菌2株では菌体数の顕著な減少が観察され,抗菌効果を示した.抗菌物質特定のため培地上清を硫安沈殿,および,アミコン精製した結果,抗菌効果のあるタンパク質を分泌する株と化学物質を分泌する株に分かれることが示された.生菌での抗菌効果のばらつきは,菌が生産する抗菌物質に依存している可能性があり,今後は抗菌物質の決定と共に動物腸内での納豆菌の抗菌効果を検討する予定である.