[ODP-196] Inhibition of LPS-induced oxidative and inflammatory reactions by Kumazasa extract and constituent
リポ多糖lipopolysaccharide(LPS)はグラム陰性菌外膜の構成成分であり,脂質部分が膜に入り込み,多糖部分が表面に局在する.感染後,遊離したLPSは体内でマクロファージ等において,TLR-4を介して刺激し,サイトカインストームを誘導して敗血症の原因となる.そこでLPSの活性を阻害する化合物は抗炎症医薬として有用と考えられ,私たちは微生物からLPSを直接不活化するheptadepsinやLPSの下流シグナルを阻害するcyclopenol, cyclopeninを見出してきた.さらにNF-κB阻害剤DHMEQはLPSに誘導されるマウス敗血症モデルで延命・改善活性を示した.一方,クマザサの水抽出物はマウスアトピーモデルを改善することが報告されている.私たちは北海道で採取されるクマザサ(Sasa albomarginata)の水抽出物を添加した手荒れ用クリームを開発した.今回,クマザサ抽出物そのものの抗酸化活性と抗炎症活性を調べ,含有成分をHPLCで解析し,含有成分の抗酸化・抗炎症活性を調べた.その結果,水抽出物および含有が確認されたcoumaric acid methyl esterはマウス単球性白血病RAW264.7細胞でLPSが誘導する酸化反応およびNOおよびIL-6産生を阻害した.さらに両者はマクロファージに分化させたヒト単球性白血病THP-1細胞においてもLPSが誘導するIL-6産生を阻害した.以上のようにクマザサ水抽出物はマクロファージ様細胞において抗酸化活性・抗炎症活性を示し,活性物質のひとつはcoumaric acid methyl esterであることが示唆された.