The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP31] 7. Antimicrobial agents and resistance -b. Antimicrobial resistance

[ODP-209/W10-4] Functional analysis of multi-drug resistance genes in M. tuberculosis using CRISPR interference

Nao Hirata, Kayo Kumadaki, Motoko Shinohara, Yui Kitagawa, Yusuke Minato (Dept. Microbiol., Sch. Med., Fujita Health Univ.)


結核は現在でも世界で毎年1000万人が罹患し,そのうち150万人が亡くなっている.結核は複数の抗結核薬を用いた化学療法により治療可能な感染症であるが,長期にわたる治療のため副作用等が問題となる.また,既存の抗結核薬に対して抵抗性を示す薬剤耐性結核菌の治療はさらに複雑かつ長期の治療を必要とし完治しない例も少なくない.このため,効果の高い新たな抗結核薬の開発が急務である.本研究は,結核菌の内因性薬剤耐性機構を包括的に理解し,その知見を抗結核薬の開発に応用することを目的としている.結核菌がもつ数多くの内因性薬剤耐性に関する候補遺伝子を効率的に解析するため,我々はCRISPR interference(CRISPRi)法を用いた.このCRISPRi法は標的遺伝子を認識するsingle guide RNA(sgRNA)によりエンドヌクレアーゼ活性が欠損したdead Cas9(dCas9)が誘導され,標的遺伝子上でsgRNAとdCas9が複合体を形成する.このsgRNA-dCas9複合体の作用によって遺伝子発現を抑制することができる.我々はCRISPRi法を用いた機能解析の結果,少なくとも6個の遺伝子がデラマニド,エタンブトールを含む抗結核薬に対する結核菌の多剤耐性に関与することを確認した.本発表では解析から得られた最新の知見と研究の将来展望についてご紹介したい.
(謝辞)本研究は,AMEDの課題番号JP21fk0108128およびJP21fk0108607の支援を受けた.