The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP31] 7. Antimicrobial agents and resistance -b. Antimicrobial resistance

[ODP-211] Analysis of antimicrobial-resistant bacteria derived from retail vegetables

Toshi Shimamoto1, Yo Sugawara2, Motoyuki Sugai2, Tadashi Shimamoto1 (1Lab. Food Microbiol. Hyg., Grad. Sch. Integrated Sci. Life, Hiroshima Univ., 2Antimicrob. Resist. Res. Ctr., Nat. Instit. Infect. Dis.)


【背景と目的】薬剤耐性菌の動向を調べるため,One Healthの概念に基づいてヒト,動物,食品,環境などさまざまなサンプルより耐性菌を分離し,解析を進めてきた.本研究では,生で喫食することが多い市販野菜より薬剤耐性菌を分離し,解析を行った.
【材料と方法】これまでに市販野菜176サンプルより,大腸菌および大腸菌群を中心に計1,025株の分離株を得た.得られた菌株について,β-ラクタマーゼ遺伝子を中心とした複数の薬剤耐性遺伝子を同時に検出可能なMultiplex PCR法によって耐性遺伝子の検出を行った.blaTEM遺伝子またはblaCTX-M遺伝子が陽性の株については,同一サンプルから分離された類似の菌株を除いた13株のドラフトゲノム解析を行った.また,一部の分離株(152株)について,β-ラクタム剤(AMP,CTX,AZT,CAZ,MEM)に対する耐性表現型を調べた.
【結果と考察】各サンプルにおける一般生菌数とアンピシリン耐性菌数には,ばらつきがあったが,平均のアンピシリン耐性率は約30%程度であった.耐性遺伝子解析の結果,分離菌株1,025株中,TEM陽性株が21株,CTX-M陽性株が61株,AmpC陽性株が229株,SHV陽性株が5株などの分離株が得られた.野菜分離株は食肉分離株と比較して大腸菌や大腸菌群の細菌が少なく,耐性遺伝子もTEMが少なくAmpCが多いなどの偏りが見られた.ドラフトゲノム解析の結果,多剤耐性菌となる複数の耐性遺伝子を保有する菌株は4株のみであった.以上の結果より野菜分離株における多剤耐性菌は,食肉分離株と比較して少ないことが示唆された.
【謝辞】本研究は,内閣府食品安全委員会食品健康影響評価技術研究の補助によって行われた.