[W1-5] Structure-based working model of SecDF, a proton-driven bacterial protein translocation factor
細胞質で合成されたタンパク質の多くは膜を超えて輸送される.細菌の細胞質膜にはタンパク質の膜透過のためのチャネルとして, SecYEG 複合体が存在するが,単独では機能せずモータータンパク質が必要である.SecA ATPase と SecDF はそれぞれ独立に SecYEG チャネルと相互作用して,タンパク質の膜透過に関わるモータータンパク質である.SecA は細胞質側で ATP の加水分解のエネルギーを用いて,基質タンパク質を SecYEG チャネル内に押し込む動作を繰り返すとされている.一方,SecDF は,ペリプラズム側に大きなドメインを持ったタンパク質であり,プロトンの膜透過と連動してペリプラズム側のドメインが構造変化することで,基質タンパク質をSecYEGチャネルから引き抜く動作を繰り返すとされている.これまでに,SecDF のペリプラズム側の領域が異なるいくつかの構造をX線結晶構造解析で明らかとしてきた.それらは,Super F 型,F 型,I 型と名付けた.これらの構造変化において,特筆すべきことはペリプラズム側のベーターバレル構造とベータシート構造の間のフォールディング変化があることである.この構造変化は,膜貫通領域に存在する保存されたアミノ酸が関わっていた.本発表ではこれまでの構造機能解析を総括して,最新の SecDF の機能モデルを紹介する.