The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Workshop

[W5] Workshop 5
Selected from Oral Session 2: Genetics, taxonomy and Epidemiology

Wed. Mar 30, 2022 4:00 PM - 6:00 PM Channel 3

Conveners: Yoshitoshi Ogura(Kurume University), Hidenori Matsui(Kitasato University)

[W5-1/ODP-098] Analysis of the toxin-antitoxin system, ECs3274-ECs3275, encoded in Escherichia coli O157 strain

Yuka Sasaki1, Mizuki Yoshioka1, Yuna Mogi2, Yuichi Otsuka1 (1Dept. Biochem. Mol. Biol., Grad. Sch. Sci. Eng., Saitama Univ., 2Grad. Sch. Front. Sci., Univ. of Tokyo)

細菌がもつトキシン-アンチトキシン系(以下,TA)は,トキシンとアンチトキシンの2成分で構成され,プラスミド維持や薬剤耐性,ファージ防御に関わる.トキシンはDNA複製や翻訳,細胞分裂などを阻害して細菌自身の増殖を抑制する.一方,アンチトキシンはトキシンに結合してトキシンの毒性を抑制する.我々は大腸菌O157株のゲノムを対象にしてTA遺伝子の探索を行い,新規と予想されるTA遺伝子を複数発見した.本研究では,既知のトキシンにはないDNA結合ドメインhelix-turn-helix(HTH)をもつECs3275トキシンとそれと対をなすECs3274アンチトキシンについて調べた.
大腸菌K12株でECs3275を発現させると,増殖は停止して生存率が低下した.この増殖阻害にはHTHが必要であったことから,このトキシンはDNAを標的にしていることが示唆された.一方,ECs3275による増殖阻害はECs3274の発現により解消された.一般的なアンチトキシンと同様に,ECs3274はECs3275と結合し,さらに細胞内のECs3274はECs3275に比べて不安定であった.加えて,HTHをもつECs3274は自身のプロモーター配列の上流に結合して転写を抑制した.最後に,ECs3274-ECs3275が,予想に反して,O157株に感染するPP01ファージの効率良い増殖に必要であることが分かった.現在,ECs3275による増殖阻害機構,ECs3274による転写抑制機構,ECs3274-ECs3275によるファージ増殖の促進機構の解明を行っている.