[W5-2/ODP-001] Global population analysis of Escherichia coli O103:H2 and comparison of complete genomes
腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症は志賀毒素産生大腸菌株による感染症で,腹痛や水様性下痢,血便のほか,溶血性尿毒症症候群や脳症などの重症合併症を引き起こす.国内では,毎年3000事例が報告されており,その60%程度は血清型O157によるものである.EHECにはO157以外にも多様な血清型が存在し,2020年度の報告数ではO26,O103,O111の順となっている.本研究では,2007年から2018年に国内で分離されたEHEC O103:H2(O103,N = 103)を収集し,次世代シーケンサを用いてドラフトゲノムを取得した.当研究室で以前完全長配列を決定したO103株(12009株)を参照株として高精度系統解析を行った結果,O103には複数の亜系統が存在し,12009株はマイナーな亜系統に含まれていることが明らかとなった.さらに,公共データベースにて公開されている海外株を加えた大規模な系統解析を行い,この傾向が国内で特異的かどうかを解析したところ,国内分離株の系統解析結果と一致し,複数の亜系統からなる集団であることがわかった.そこで,比較的主要な2つの亜系統から国内分離株を1株ずつ選抜してナノポアロングリードシーケンスを行い,イルミナショートリードとのhybrid assemblyにより完全長配列を決定した.本演題では,高精度系統解析の結果とともに,当研究室で完全長配列を決定した3株と完全長配列が公開されている2株の詳細なゲノム構造比較の結果を報告する.
共同研究者:
森本洋,畠山敬,田中静佳,河合優子,北橋智子,青木順子,長岡宏美,古田敏彦,若林友騎,田辺純子,濱崎光宏,阿部有利,成松浩志(菌株を分与していただいた各地の地方衛生研究所)
共同研究者:
森本洋,畠山敬,田中静佳,河合優子,北橋智子,青木順子,長岡宏美,古田敏彦,若林友騎,田辺純子,濱崎光宏,阿部有利,成松浩志(菌株を分与していただいた各地の地方衛生研究所)