プロポーズドセッション
プロポーズドセッションについて
GEWEX AsiaPEX: アジアの水循環システム変動機構の理解に向けて
代表コンビーナ:寺尾 徹(香川大学/教育学部/教授)
共同コンビーナ:上米良秀行(国立研究開発法人防災科学技術研究所/水・土砂防災研究部門/特別研究員) 高橋 洋(東京都立大学/都市環境学部/助教)
セッションの趣旨: われわれは、全球エネルギー水循環プロジェクト(GEWEX)のもと、2019 年にアジア降水研究計画(AsiaPEX / Asian Precipitation Experiment)を立ち上げ、 アジアの水文気候学研究の国際共同研究を推進してきた。本研究計画の最重要ミッションは、加速しつつある気候変動によるアジアの水循環システム変動機構の理解である。そのためには、水文・水資源学のホットトピックである大気陸面相互作用の解明が求められる。われわれは、アジアの大陸面相互作用には、従来の欧米流のものと全く異なる多くの側面があることに気づいた。1) ヒマラヤに代表される山岳地形、2)インドネシアなど海洋大陸付近の長大な海岸線と海陸コントラスト、3)日変化や季節内変動などの特徴的な気象擾乱の存在などである。本セッションはこれらの観点から、アジアの水文気候学研究推進のディスカッションを行う。特に、AsiaPEX を始めとする諸研究の広い共同による今後 5 年間の水文気候学的観測計画の具体化の議論を深める。
トレーサーを用いた水文学
代表コンビーナ:町田 功(産総研・研究グループ長)
共同コンビーナ:井岡聖一郎(弘前大学・教授) 利部 慎(長崎大学・准教授) 岩上 翔(森林総研・主任研究員)
セッションの趣旨: 自然界の水及びそれに関わる環境の特性、動態、起源、年代、分布、循環、相互作用など解明するためのツールとして用いられる、トレーサーに関する研究報告を歓迎する。水資源・水環境に対する考え方は、2014 年の水循環基本法の施行により大きく変化しつつある。本法では、適切な水循環の維持を謳っているが、具体的な施策のためには、水循環を構成する降水、地表水、湖沼水、地下水などの動態にかかる知見が必要不可欠である。水文学は、これらを総合的に扱っており、本法の理念に資する学問領域である。この視野から、本セッションではトレーサーを用いた水文学研究を発表するとともに、水文・水資源学会と日本水文科学会という 2 つの学会にて、水資源・水環境・水循環というキーワードでつながっている研究者・実務者間の連携の場を提供したい。
社会と水の相互関係に関する学際研究
代表コンビーナ:中村 晋一郎(名古屋大学・准教授)
共同コンビーナ:木村匡臣(近畿大学・講師),渡部哲史(京都大学・特定准教授),乃田啓吾(岐阜大学・准教授)
セッションの趣旨: 西洋文明の近代化とその世界への波及とともに,人々の生活や経済活動は地球全体の気象・水循環システムへまで影響を及ぼすまでに拡大・膨張を続けている. 今後,持続可能な水管理を検討するためには,人間社会と水循環の相互関係を長期的視野において理解する必要がある.近年,人間社会と水循環の相互関係を扱う「社会水文学」(socio-hydrology)が欧米を中心に盛り上がりを見せており、洪水と土地利用、渇水と水分配、地下水と都市化といった実課題を対象に、人間社会と水循環の相互関係を理解するための研究・学問分野が体系化されつつある. 本セッションは,日本さらにはアジアにおける人間社会と水循環の相互関係に関する研究の可能性を模索することを目的とし,水文・水資源学,水文科学をはじめ歴史学,経済学,人類学,都市学といった社会分野の研究や地域における実践事例など,学際的アプローチによる多様な報告を歓迎する.
流域を超えて~全国水文モデリングの最前線~
Beyond a basin―Frontier of nationwide hydrological modeling
代表コンビーナ:花崎直太(国立環境研究所・気候変動適応センター・室長)
共同コンビーナ:佐山敬洋(京都大学防災研究所・社会防災研究部門・准教授) 吉田武郎(農研機構・農村工学研究部門・主任研究員) 芳村圭(東京大学生産技術研究所・人間・社会部門・教授)
セッションの趣旨: 水文学の基本単位は流域であり、モデリングも流域ベースで行われてきた。近年、気候変動の影響予測、広域の風水害の解析、大規模な環境変動の解明などを目指して、日本全国や地域全体を対象としたモデルの開発や応用が各所で始まっている。こうしたモデリングによって、課題解決に向けた応用面の進展が見込まれるほか、流域ベースにはない俯瞰的な視点が得られることで、水文・水資源学に関する新たな発見に結び付く可能性が広がる。本セッションでは、洪水、水資源、水利用、水環境等の解析および予測を目的として日本全国あるいは少なくとも2つ以上の流域を同時に扱う水文モデリングの最新事例を集め、背景、問題意識、現状と課題、今後の展開などについて幅広く議論したい。
セッション編成:発表申し込み登録締切後,直ちに代表コンビーナに要旨送付の上,プログラム編成を依頼します.
プログラム受取:代表コンビーナには,遅くとも5月末にプログラムを大会実行委員会にご送付頂くようお願いします.
代表コンビーナの裁量:各発表の発表時間,発表の採否とします.
採用されなかった発表の取扱は一般の発表と同様に実行委員会に一任されます.
水文・水資源学会/日本水文科学会 2021年度研究発表会 大会実行委員会
プロポーズドセッション係
E-mail:suisui-suika2021@ ml.affrc.go.jp