第46回日本集中治療医学会学術集会

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委員会報告

[CR2] 委員会報告2
(教育委員会) 専門医テキスト第3版 セミナー、ハンズオンセミナー等の学会認定 共通講習、領域講習の解説

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 3:00 PM 第6会場 (国立京都国際会館1F スワン)

座長:貝沼 関志(稲沢市民病院麻酔科)

[CR2-4] 臨床工学技士に対する集中治療に関する教育の必要性と方向性

相嶋 一登 (横浜市立市民病院 臨床工学部)

【背景】集中治療医学とは「内科系、外科系を問わず呼吸、循環、代謝などの主要臓器の急性機能不全に対し、総合的・集中的に治療・看護を行い、回復させることを主題とした学問」と定義され、集中治療室とは、集中治療のために濃密な診療体制とモニタリング用機器、ならびに生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療単位」と定義されている。一方で臨床工学技士業務は臨床工学技士法で「医師の指示の下に生命維持管理装置の操作および保守点検を業とする」と規定されており、臨床工学技士の専門性が最も活かせる診療部門の一つである。平成26年度診療報酬改定において特定集中治療室管理料1,2が新設され、その施設基準に臨床工学技士の常時勤務が含まれた。これを契機として集中治療室で業務を行う臨床工学技士が増加している。【臨床工学技士教育の必要性】従来から集中治療に関与する臨床工学技士は多く、日本臨床工学技士会の調査によれば、その数は約6,000名と推定されている。しかし多くの臨床工学技士は集中治療室専従ではなく、血液浄化センターや手術室など他部門から治療内容に応じて派遣される形態が多かった。すなわち代行および補助する臓器によって臨床工学技士の担当が分かれていた。このような業務では例えば補助循環中の人工呼吸管理や血液浄化中の人工呼吸管理など、複数の生命維持管理装置を装着している場合に患者を中心とした全人的な治療に関与出来ないばかりか、担当外の医療機器トラブルに迅速に対応できないなどの問題が生じることになる。そこで集中治療室内で使用される全ての種類の生命維持管理装置の操作、管理、その他生体情報監視装置、病院設備についての包括的な知識と技術をもつ臨床工学技士が必要となる。さらには臨床工学技士は生命維持管理装置を扱う性質上、急性期における終末期医療に関わることになることから、様々な倫理的課題についての教育が必要となっている。そこで集中治療業務を中心にした体系的な教育システムの構築が必要となっている。【教育の方向性】公益社団法人日本臨床工学技士会では集中治療認定臨床工学技士制度の準備を行っており、本学会としてはこれに協力することとしている。本学会としては2018年度中の臨床工学技士集中治療テキストの作成、刊行、そして2019年度には本学会主催の「集中治療CEセミナー」を開催する予定である。本学会と公益社団法人日本臨床工学技士会で協力しながら、集中治療の有効性、安全性の向上を図り、そして医師、看護師等からのタスクシフティング・タスクシェアリングに対応できるような臨床工学技士を育成していく方針である。