[JPD1-1] J-SSCG2020におけるチャレンジと課題; 新たな組織、作業工程
J-SSCG2020は、J-SSCG 2016の改訂版であるとともに、一般診療の現場で広く役立つガイドラインとして、臨床家が必要とする内容をSSCGの内容にとらわれず積極的に取り入れること、および、診療フローなどガイドラインの内容の見せ方にも革新性をもたらすことを目的としたJ-SSCG2016の発展版である。J-SSCG 2020では、J-SSCG2016作成の際に問題となっていた組織編成、Systematic review(SR)施行者とパネル委員会の分離、既存のメタ解析やガイドラインの流用などを解決するために新たな試みを行っている。J-SSCG2020では、準備委員会を組織し、委員24名によるJ-SSCG 2020委員会を編成した。領域数は22あり、定義と診断、感染の診断、感染源のコントロール、抗菌薬治療、免疫グロブリン、初期蘇生・循環作動薬、ステロイド療法、輸血療法、人工呼吸療法、痛み・不穏・せん妄の管理(PAD)、AKI・急性血液浄化、栄養管理、血糖管理、体温管理、DIC診断と治療、静脈血栓症対策、ICU-AW・PICS・早期リハビリテーション、小児、神経集中治療、Patients Centered Therapy and Family Care、Sepsis Treatment System、ストレス潰瘍の各領域班を結成した。各領域班にガイドライン作成法に精通したアカデミック班員(委員3名を含む計10名)を水先案内人の役割を持つWorking group(WG)メンバー(アカデミック班)として各班に配置した。班長指名のWGメンバー(班長指名)は27名であり、このうち2名の方は敗血症患者経験を有しており、患者の立場としての意見をガイドラインの内容に取り込む際の一助となることを期待している。また、開かれたガイドライン作成を目指してWGメンバー・SRメンバーの公募を行い149名の医師、9名の看護師、4名の理学療法士、2名の臨床工学士、1名の薬剤師の応募をいただいた。公募頂いた方々にはWGメンバーあるいはSRメンバーとして活躍いただいている。臨床課題(CQ; Clinical Question)の策定は、ガイドラインの作成における屋台骨であり、ガイドラインが臨床上有益なものになるか否かは、このCQ策定に大きく依存している。CQ策定には数ヶ月かけ、二回の委員会による洗練化と、パブリックコメントによるブラッシュアップにより最終的なCQ一覧が策定された。現在はEBM普及推進事業Minds(マインズ)のサポートのもと、GRADEを用いたガイドラインを行っている。本演題では、この計223名を擁する組織化と現状および、今後の作業工程に関して報告する予定である。