[JPD2-4] PICS 気が付いた時には患者さんはICUにいない?誰と一緒にアプローチ?
ICUにおける補助循環・呼吸装置の技術革新やガイドラインによる診療レベルの向上と標準化、教育プログラムの充実により、敗血症患者のICU死亡率や28日生存率など短期的なアウトカムは飛躍的に改善したものの、長期予後や生活の質はいまだ改善していない。集中治療を受けた敗血症患者の多くは身体的および精神的な障害を抱え、それらが社会復帰や長期予後の障壁となっている。Post-Intensive Care Syndrome(PICS)は世界中で急速に進行する超高齢社会とICU患者の高齢化を背景に浮かび上がった21世紀の集中治療医学の新たな問題点である。PICSとは、ICU在室中あるいはICU退室後,さらには退院後に生じる運動機能・認知機能・精神の障害で、ICU患者の長期予後のみならず患者家族の精神にも影響を及ぼすものとして広く認識されはじめている。近年このPICSが亜急性期から慢性期の病態がICUにおける敗血症患者にも密接に関与しているという報告がなされるようになった。いつ、誰が、どのようにPICSを認知するか? PICSを予防するにはどのようにするか?ICU退室後のフォローアップはどのように行うか?本講演ではPICSの病態の概要とともに、予防・治療に関する最新の知見を解説し、ICU患者の長期予後改善に向けた方策を提案する。