[JSY3-5] 高齢者熱中症に対する血管内冷却法を用いた治療の検討:単施設研究
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【背景】近年、熱中症患者、特に高齢者における重症熱中症患者の増加が問題となっている。近年、血管内冷却カテーテル(Intravascular temperature management: IVTM)を用いた冷却法が普及し2014年より保険適応となっているが、高齢者に対しての有効性は明確でない。高齢重症熱中症患者において従来の冷却法とIVTMによる治療成績を比較した。【対象と方法】2014年5月より日本医大に入院した65歳以上の高齢者重症熱中症患者22例を後方視的に検討した(男性8例、女性14例、平均年齢80.2歳、初診時深部体温中央値39.3℃、労作性3例、非労作性19例)。IVTM治療群(14例)と従来の体表冷却群(Control:8例)において、冷却速度やSOFAスコア、合併症、発症30日後のmodified Rankin scale (mRS)およびcerebral performance category(CPC)を比較した。Mann-Whitney U検定およびカイ二乗検定を用い、P<0.05を有意差ありとした。【結果】IVTM群とControl群では有害事象の発生に差は見られなかった。IVTM群は37℃への到達時間が有意に短かった(IVTM群中央値90分;IQR 52.8-231.0 vs Control群860分; IQR 450-1,350)。30日後mRSが0-2 の転帰良好例はIVTM群で100%、Control群で62.5%であった(P=0.014)。【結語】高齢者重症熱中症に対し、IVTMを用い冷却する治療法は安全かつ有効である可能性が示唆された。更なる大規模研究を要する。