第46回日本集中治療医学会学術集会

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教育セミナー(ランチョン)

[LS16] 教育セミナー(ランチョン)16

DIC診断のPitfall

Sat. Mar 2, 2019 12:40 PM - 1:40 PM 第4会場 (国立京都国際会館1F アネックスホール2)

座長:丸藤 哲(札幌東徳洲会病院侵襲制御救急センター)

共催:アレクシオンファーマ合同会社

[LS16-2] 敗血症性DICに併発したと思われたaHUSの1例

落合 秀信 (宮崎大学医学部病態解析医学講座 救急・災害医学分野)

今回我々は、敗血症性DIC (disseminated intravascular coagulation)として治療を開始したものの、その後の精査でaHUS (atypical hemolytic uremic syndrome) の合併が疑われ、エクリズマブの早期投与により状態の改善が得られた症例を経験したので報告する。
症例は40歳代女性。発熱、下痢、嘔吐のため近医を受診。敗血症が疑われたため抗菌薬が投与開始され二次医療施設へ紹介入院。しかしショック状態となったため当院へ転院となった。当院来院時、精査より腎盂腎炎からの敗血症性ショックが疑われたが、来院当初から腎機能の急激な悪化や病態の割にさほど重篤感を感じないこと、そして両足先の紫斑の存在、血液検査でのLDHの上昇は疑問であった。敗血症性DICとして治療を開始したところ、1週間ほどで感染はコントロールできたが、両足の紫斑は徐々に進行し溶血性貧血も認められた。さらに血小板減少は改善傾向を認めず腎機能障害も進行した。この時点で血栓性微小血管症(TMA)を疑い精査を行ったところ、ADAMTS13 (a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13) 活性、インヒビター検査によりTTP (thrombotic thrombocytopenic purpura) が否定され、STEC (Shiga toxin-producing escherichia coli)も検出されなかったことから臨床的aHUSと診断した。4回の血漿交換の効果が限定的であったためエクリズマブ投与を開始し状態の改善が得られた。敗血症性DICにおいては、経過が非典型的であった場合はaHUSの存在も鑑別に入れた方が良いと思われた。