第46回日本集中治療医学会学術集会

Presentation information

一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[O1] 一般演題・口演1
鎮痛・鎮静・せん妄 研究01

Fri. Mar 1, 2019 10:35 AM - 11:25 AM 第6会場 (国立京都国際会館1F スワン)

座長:谷口 巧(金沢大学附属病院集中治療部)

[O1-1] 胸腔鏡下手術における硬膜外麻酔と超音波ガイド下椎弓後面・脊柱起立筋膜面ブロックの術後鎮痛効果

信國 桂子, 藤村 直幸, 八田 万里子, 吉野 淳 (雪の聖母会 聖マリア病院)

【はじめに】開胸手術は術後痛が強いため、十分な鎮痛をはかることが必要である。硬膜外鎮痛法(EPI)は鎮痛効果に優れており、心血管系・呼吸器系の術後呼吸合併症を予防するため、禁忌症例を除いて一般的に選択されるが、重篤な神経系合併症のリスクが存在する。近年、EPIに比べ手技が容易であり重篤な合併症が少ない超音波ガイド下椎弓後面(RLB)・脊柱起立筋膜面ブロック(ESPB)による術後鎮痛の有効性に関する報告がされている。また、開胸手術に比べて、侵襲や術後痛が軽度な胸腔鏡下手術(VATS)も一般的になったが、VATSに対する至適鎮痛法は不明である。そこで今回、VATSにおけるEPI、超音波ガイド下RLB・ESPBの術後鎮痛効果に関して比較検討を行ったので報告する。【方法】当院でVATSを施行した患者31名を対象とした。対象を術後鎮痛方法により、EPI群8名、RLB群11名、ESPB群12名に分類し前向きに検討した。EPI群は、全身麻酔導入前に硬膜外麻酔を施行し、手術終了直前に0.375%ロピバカインを単回投与後に0.2%ロピバカイン4~5ml/hの持続投与を行った。RLB群およびESPB群は、手術終了直後、全身麻酔下にブロックを施行、0.75%ロピバカイン10mlとエピネフリン含有1%リドカイン10mlの混合液を単回投与後、0.2%ロピバカイン8~12ml/hの持続投与を行った。各群とも、術後飲水が可能となった時点でNSAIDsもしくはアセトアミノフェンの定期内服を併用した。安静時・体動時NRS、鎮痛薬の使用量、術後合併症の有無を手術室退出時から術後2日目まで記録し比較検討した。統計学的検討にはANOVAを用い、p値<0.05を有意差ありとした。【結果】患者背景、術前NRS、術中麻薬使用量、術後合併症、術後鎮痛薬使用量に3群間に有意差は認めなかった。術後の安静時・体動時NRSは3群間に有意差は認めなかった。【まとめ】VATSにおいて、超音波ガイド下RLB・ESPBはEPIと同等の術後鎮痛効果を得られる可能性がある。