[O101-1] 一酸化炭素中毒による遅発性脳症症例におけるMRSの変遷
【背景】間歇型一酸化炭素中毒における遅発性脳症の診断に対しMRSは有用な検査ではあるが、長期的な経過の報告例は少ない。今回、著明な白質病変を示しながらも社会復帰にまで至った経過良好例に対し、急性期から約1年後までの頭部MRSに関して文献的考察を踏まえ報告する。【臨床経過】29歳男性。自殺目的に車内で練炭を焚き、意識を失っているところを発見され緊急搬送となった。来院時意識レベルはGCS E4V3M6で、COHbは1.8%であったが、最長で4日間放置されていた可能性があり、同日より高圧酸素療法を施行した。来院14日後のMRIでは皮質下白質に斑状のT2延長の所見を認めるのみであったが、意識障害が遷延し、失行などの症状が出現した。31日目のMRIにて著名な白質のT2延長所見を認め、35日目にMRSを施行。その後47日目にMRS施行ののちにリハビリ転院となり、335日目に外来にて診察を行った際は、左耳の聴力低下と自覚的な物忘れの症状が残存していた。MRI上では全体的な脳萎縮の所見を認めたものの、白質におけるT2延長所見は改善し目立たなくなっていた。しかしながら、MRSにおいてはCho及びLacの上昇を認めた。【結論】間歇型一酸化炭素中毒における遅発性脳症の長期経過においては、MRSによる評価は有用であると考えられる。