[O105-7] 救急集中治療領域におけるシャーロック3CGを用いたPICC留置の有用性の検討
【背景】PICC(peripherally inserted central venous catheter:末梢挿入型中心静脈カテーテル)は挿入時の合併症のリスクが低く、マルチルーメンのPICCが導入されてから救急集中治療領域でも適応症例が増えている。PICCは末梢静脈から挿入するという特性上、カテーテル迷入が報告されており、透視下で挿入されることが多い。しかし救急集中治療領域の患者は、重症度から移動が困難な場合が多く、非透視下でのPICC挿入が多くなる。今回当院救命救急センターICUにて、非透視下でPICC先端位置をリアルタイムで確認する事ができるナビゲーション装置(シャーロック3CG)を導入したので、その有用性について報告する。【方法】2018年9月以降、当ICUでシャーロック3CGを用いてPICCを挿入した症例について、患者背景、既往歴、挿入部位、穿刺回数、留置の成否、手技時間(超音波評価からカテーテル固定まで)、カテーテル先端位置、挿入時合併症の7項目を後方視的に調査した。【結果】症例はすべて超音波ガイド下で穿刺を行い、手技中にシャーロック3CGを用いた以外は導入前後で手技に変更はなかった。カテーテル先端位置の確認は胸部X線を併用した。期間中17例にシャーロック3CGを用いてPICCを挿入した。平均年齢は57±21歳、男性11例(64%)であった。挿入部位は右上腕が10例(59%)、左上腕が7例(41%)であった。穿刺回数は平均1.6±1.2回、留置不成功は0例であった。手技時間は平均30±10分であった。心電図指標による先端位置の特定(ECG法)ができたのは15例(83%)で、ECG法にてCAJ(上大静脈-右房接合部)に留置したのは15例であった。その内、X線画像上、カテーテル先端が右第2弓内にあった症例は9例で、気管分岐部より3椎体を超えていた症例は4例であった。挿入時に発生した合併症は0件であった。【考察・結論】シャーロック3CGを用いた事で、カテーテル先端を磁場で確認しながら挿入する事ができるため、カテーテル迷入は起こり難く、非透視下で入れる事が多い救急集中治療領域では、シャーロック3CGを用いることで安全な留置ができると考える。また、ECG法を用いた先端位置の特定は、従来のX線での確認より深い位置に留置された。X線では血管を直接確認することはできず、臓器をランドマークとした相対的な位置確認のため、先端位置の見え方にはばらつきがあることが示唆された。尚、学会発表では2019年2月までの症例を集計して発表する。