[O11-5] 重症肺炎球菌性肺炎後に二次性器質化肺炎を続発した1症例
【背景】器質化肺炎(organizing pneumonia: OP)は特発性器質化肺炎(cryptogenic organizing pneumonia: COP)と続発性器質化肺炎(secondary organizing pneumonia: SOP)に分類され、SOPの原因としては、膠原病、薬剤性、放射線治療後などとともに細菌性肺炎後に生じる場合も多い。細菌性肺炎にSOPが続発した場合には、細菌性肺炎の治癒過程からSOPを発症する過程は連続的であり、その症状や検査所見も類似している点が多く、SOPの診断やステロイド使用のタイミングなどに苦慮することがある。今回、重症の肺炎球菌性肺炎後にOPを併発した症例を経験したので報告する。【臨床経過】48歳、男性。5月下旬、呼吸困難が強い状態で屋外にて倒れているところを発見され救急搬送された。来院時現症は、意識レベルはGCS 15で、呼吸数は40回/分(努力様呼吸)であり、右肺野の呼吸音は左に比べて減弱していた。心拍数は130/分の洞性頻脈であり、血圧は112/85mmHg、体温は40.3度であった。動脈血ガス分析では高流量酸素投与下にて、pCO2 25.7mmHg, pO2 56.9mmHgであり、乳酸値は11.8mmol/Lと上昇していた。血液生化学ではCRP 35.5 mg/dl、プロカルシトニン(PCT)9.83 ng/mlと高値を認めた。細菌学的検査の結果から、肺炎球菌性肺炎による重症敗血症性ショックと診断し、気管挿管、人工呼吸管理、敗血症性ショックに対する対症療法および肺炎球菌性肺炎に対する抗菌薬投与、経腸栄養を開始した。ショック状態からは数日で離脱し、第19病日には抜管可能で、血液データにおいてもPCTは第11病日には基準値以下となった。その後、PCTの上昇はなかったが、CRPは第23病日から再上昇し、酸素化不良の状態が継続するため、第28病日よりSOPと考えステロイドの投与を開始した。第32病日に施行した経気管支肺生検ではOPの所見を得た。患者は約2カ月後に在宅酸素療法にて退院となった。【結論】重症肺炎球菌性肺炎後にSOPに移行した症例を経験し、ステロイドの使用により退院可能となるまで回復した。治療抵抗性の細菌性肺炎では、SOP発症を疑い、早期の診断およびステロイドの使用を開始することが重要と考えられた。