[O11-6] 大量喀血で心肺停止蘇生後に気管支動脈蔓状血管腫と判明した1症例
【背景】気管支動脈蔓状血管腫は喀血の原因として頻度は少ないが特徴的な画像所見により診断が可能な疾患である。血管内治療により治療可能な疾患であり早期に疑って血管造影をおこなうことが望ましい。今回は喀血の原因精査の入院中に心肺停止となり蘇生後に気管支動脈蔓状血管腫と診断した1例を経験した。【臨床経過】78歳、女性。就寝中突然喀血し呼吸苦が出現し当院に搬送された。来院時酸素10L/分投与でSpO2 96%の酸素化不良と頻呼吸を認め、精査加療目的に入院した。原因精査として胸部造影CTを施行したが、動静脈奇形、肺癌、肺結核を疑う所見を認めなかった。入院の上、酸素投与と止血剤の点滴加療を開始した。酸素需要が減少した第4病日に、喀血の原因精査目的で呼吸器内科に転科した。第5病日突然の大量喀血とSpO2 60%台までの低下があり院内急変システムが発動、担当医師が到着した時には血圧低下・意識レベル低下・心拍数20/分の著明な徐脈から、心肺停止に陥り心肺蘇生を開始した。アドレナリン1mg投与・挿管を施行し2分間で自己心拍再開した。大量喀血の出血源精査・活動性出血の有無を確認するため造影CTを撮影した後ICU入室した。明らかな造影剤の血管外漏出像は認めなかったが左主気管支周囲の血管の怒張を認め喀血の責任病変である可能性が示唆された。気管支鏡検査では内腔には凝血塊を見るのみで明らかな出血源を指摘できず、診断・治療目的に血管撮影を施行した。左気管支動脈は下行大動脈腹側から分岐し、直後で上葉枝・下葉枝に分岐していたがいずれも数珠状に拡張・蛇行しており、気管支動脈蔓状血管腫と診断し塞栓術を施行した。左右気管支動脈共通管についても同様の所見を呈しており、塞栓術を施行した。塞栓後喀血はなく酸素化も改善し第10病日抜管しICU退室・第23病日退院した。【結語】気管支動脈蔓状血管腫は稀な疾患であり診断に苦慮する例が多い。胸部造影CTで異常血管拡張をみた場合には、本疾患を想起し早期に血管造影を検討するのも一手である。今回は稀な疾患である気管支動脈蔓状血管腫から心停止を来たし経験したので報告する。