第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

患者管理

[O110] 一般演題・口演110
患者管理03

Sat. Mar 2, 2019 10:45 AM - 11:45 AM 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:齊木 巌(東京医科大学病院 麻酔科学分野 集中治療部)

[O110-3] 医工連携による長時間作動スタンドレス輸液ポンプ開発について

秋冨 慎司1, 福江 高志2, 片野 圭二3, 廣瀬 宏一4 (1.防衛医科大学校 救急部, 2.金沢工業大学, 3.アイカムズラボ, 4.岩手大学)

【背景】我が国は災害多発国である。医療機器においても、平時の運用だけでなく、災害時にも運用できるシステムと医療機器の開発は急務である。東日本大震災では被災地の傷病者搬送のみならず、複合災害として原子力発電所爆発事故が発生したが、その避難の過程で患者の遠距離医療搬送が行われた。またJR福知山線脱線事故では、つぶれた車両内に閉じ込められた傷病者へ輸液を行ったが、そのクラッシュ症候群に対する点滴量の管理や輸液バッグをかける場所の確保は困難であった。【目的】医療機器と一緒に患者搬送することは大変な労力が必要であり、また災害現場は劣悪な環境かつ電源の確保も期待できないことも考えられるため、そのような環境に耐えうる輸液装置の開発を行う必要があった。【研究内容】現場の課題から仕様目標を以下の5つとした。1:輸液スタンドを必要としない、2:長時間駆動が可能かつ乾電池での代用が可能、3:点滴速度の上限が500ml/hr以上、かつ1ml/hrの低流量輸液が可能、4:専用のチューブを使用せずに汎用されているチューブが使用可能,、:院内でも劣悪な環境の院外でも正確に駆動可能。こうした課題について、いわて産業振興センター、岩手大学理工学部、(株)アイカムズラボの産学官による医工連携とニプロ株式会社協力のもと、課題解決を行った。【結論】開発したスタンドレス輸液装置は、防塵、防水、耐衝撃のみならず、輸液速度は1~1000ml/hrであり、かつ専用の輸液チューブを必要とせず、24時間以上の乾電池駆動が可能となった。スタンドレス輸液装置は災害対応のために開発された経緯があるが、スタンドなしで輸液装置を持ち運べるため、院内での患者移動もスムーズになり、患者活動の向上にも貢献することが分かった。