[O113-6] CAM-ICU導入による看護師のせん妄に対する理解向上の取り組み~筆記テストの効用~
背景低活動型せん妄は予後不良因子の一つである。看護においてはその予防及びケアが重要な課題である。当病棟ではせん妄評価ツールを使用していなかったため、低活動型せん妄は検出できていなかった。今回、評価ツールとしてCAM-ICUを導入するにあたり、短期間で効率よくせん妄を理解してもらうため、勉強会に理解度を試す筆記テストを併用した。目的せん妄とCAM-ICUに対する勉強会に筆記テストを併用することの効果を確かめる。方法 当ICU看護師43名に対して、せん妄及びCAM-ICUについての勉強会を実施し、その前後とCAM-ICU導入後の3回、意識調査のアンケートとともに知識の定着を確認するためのテストを行い、その結果を比較した。さらに実際の効果を確かめるために全身麻酔下で行われた心臓血管外科、呼吸器外科、循環器内科の患者について、CAM-ICU導入後2か月間の記録を調査した。結果 アンケート結果から「せん妄と不穏の違いが分かる」が44%から84%、「せん妄の3つのタイプを知っているか」33%から95%、「せん妄について理解しているか」はしている、どちらかと言えばしているが42%から81%となった。また、「CAM-ICU導入前後でせん妄の評価に根拠をもてるようになったか」には、そう思う、どちらかといえばそう思うと回答したのが69%、「導入後、低活動型せん妄を意識するようになった」については83%が意識するようになったと回答した。 テスト(33点満点)の平均点は勉強会前後、CAM-ICU導入後それぞれ、26.9点、27.7点、28.0点となり、勉強会前に比べ勉強会後、CAM-ICU導入後が有意に高かった(t検定、P<0.05)。 CAM-ICU導入後の調査では153名中24名が陽性を示し、その内2名が低活動型となった。結論 勉強会と共に勉強会前から導入後にかけてテストを実施することで、せん妄、特に低活動型のせん妄に対する意識を高められ、知識の定着を図れた。その結果、短期間にCAM-ICUを導入する事ができ、今まで意識されなかった低活動型せん妄を検出できるようになった。倫理的配慮 開示すべき利益相反はない。個人が特定されない方法でアンケート調査を行った。記録の調査については当院倫理委員会の承認を得た。