第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

患者管理

[O121] 一般演題・口演121
患者管理06

Sat. Mar 2, 2019 10:35 AM - 11:35 AM 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:石井 宣大(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター臨床工学部)

[O121-2] 当院ICUにおけるICU Diaryの取り組みの現状と課題

辻本 雄大, 松谷 悠里, 福山 久美子, 小川 哲平, 井上 聡己 (奈良県立医科大学附属病院集中治療部)

【目的】当院ICUでは、患者や家族へのメンタルヘルスの問題に対して2017年11月からICU入室患者にICU Diaryを導入している。今回、ICU Diaryの取り組みの現状から課題を検討したので報告する。【方法】ICU Diaryは、ICU退室後訪問時に手渡し、現在の気持ちやICUの記憶について、同意を得た上で質問を行っている。今回、ICU看護師に対して、選択式および自由記述によるwebアンケートを2018年8月~9月に実施し、回答をもって同意とした。活動に対してICU Diaryチームメンバーに対する任意インタビューによって、活動とその評価の分類を行なった。【結果】1.看護師へのアンケートWebアンケートは、看護師長を除く看護師39名中34名(回収率87.2%)であった。看護師経験年数年目(1~5年目32.4%、6~10年目38.2%、11年目以上29.4%)であった。ICUダイアリーに関する効果に関する自由記載では、「ICUの記憶の歪みの修正」61.5%、「家族が面会に来れない時の患者の様子が分かる」46.2%、「うつ、PTSDの予防」2.5%、「わからない」7.7%であった。ICU Diaryについて、「使用経験がある」100%、「作成経験がある」50%、「継続の希望」88.2%であった。ICU Diaryに関する良い点は、「家族との交流のツールになった」「家族が喜んでくれた」などが多く、改善点は、「長期になると書く内容に困る」「状態が悪化した時の表現の書き方」「効果が実感できない」などが多かった。退室後訪問に「参加したことがある」73.5%、「今後参加したい」79.4%であった。2.ICU Diaryチームメンバーの任意インタビュー ICU Diary実施回数33名、術後訪問13名であった。ICU Diaryチーム活動について、「リハビリの写真をもとに思い出す人がいた」、「患者や家族から感謝の言葉を頂けて嬉しかった」「スタッフから作成の希望をいってもらえて嬉しかった」などの肯定的な意見の一方で、「不快な記憶や幻覚を訴える人が多く感じ、本当にICUの記憶を思い出させることが本当にいいのか悩む」「患者の回復状態や訪問の時間調整などの理由から、訪問のタイミングを逃してしまう」「ICUスタッフに対するICU Diaryの知識の向上やその普及が難しい」などの課題も聞かれた。【結論】全てのスタッフがICU Diaryを使用したことがあり、その大半が継続を望んでいた。今後は、看護師に対するICU Diaryの再教育と普及活動、患者・家族アウトカムの評価を含む運用方法の改善が課題である。